タルトといえばパティスリーでもお取り寄せスイーツの中でも人気のお菓子ですが、色とりどりのフルーツが詰められたパイの迫力は、見るものを圧倒する美しさ。
リンゴをたくさん詰めたタルトタタンや、一口サイズのエッグタルトなどたくさんの種類があり、どんな種類のタルトがあるのか見ていきたいと思います。
タルトの歴史は?
タルトというお菓子がいつ頃からあるのかを見てみると、中世には菓子職人が肉や魚のパイを作っていたり、果物とクリームをパイ皮に乗せていたりと、タルトの原形をさかのぼることができます。
一口サイズの小さなタルトの「タルトレット」は中世のお菓子の料理書「ル・ヴィアンディエ」に載っているそうですから、タルトの種類の豊富なことは昔から知られているのですね。
14世紀末、中世の宮廷料理人「タイユヴァン」によって書かれたとされる料理本
15世紀から17世紀前半にかけて何度も再販されたと言われる
古代ローマ時代から中に詰め物をしたタルトの原形は食べられていて、のちにヨーロッパへ渡ったとされています。
タルトの歴史はずいぶん古いんだね!
お皿の代わりに液状の具を乗っけて食べていたんだって。
タルトは生地の大きさ、生地の種類、焼き方や、中に詰めるフィリングの種類によって名前が変わります。
どんな呼び名があるのか見ていきましょう。
大きさで分けられるタルトの種類
集まった人みんなで切り分けて食べるような、フルーツをたくさん詰め込んだ大きなタルトもあれば、一口サイズの小さなものもあります。
・タルトレット:ひとり用サイズ(直径が約7~8cm)のタルト
・タルトレットフール:一口サイズのタルト
タルト
みんなで切り分けて食べるサイズの大きなものが直径20〜33cm前後の「タルト」。
タルト専門店や、ケーキ屋さんでは主にこのサイズが販売されていますね。
リンゴを煮たものを詰めたタルト・タタンは、季節のお菓子としてフルーツを詰めた代表的なもの。
タルトレット
一人用のサイズの小ぶりなタルトです。直径が約7~8cmほど。
ひとりでタルトが食べたい時には嬉しいサイズです。
レストランで魚介類や野菜が乗った料理が、前菜としてこの形で出てくることもありますね
ポルトガルのエッグタルトや、チーズのタルトなどが人気です。
タルトレットフール
一口サイズで食べられるサイズのタルトで、プチフールとしてパーティーなどで出されることもあります。
生地の種類によって分けられるタルト
タルトの生地は大きく分けて3種類に分けられます。
それぞれの生地の種類で、中に詰めるものや調理法が変わってきます。
甘くてもろい生地
・サブレ生地(パートサブレ)
シュクレ生地よりもサクサクとした食感
・ブリゼ生地(パートブリゼ)
甘くない水分が少ない生地
シュクレ生地(パートシュクレ)
シュクレはフランス語で「砂糖」を意味し、シュクレ生地、またはパートシュクレ(Pâte Sucrée)は、甘いタルト生地を意味します。
シュクレ生地はフランス菓子の基本の生地で、クッキー生地としても使われます。
砂糖と小麦粉に卵、バターを使用した生地はサクサクとした食感で、砂糖を多めに使います。
冷やし固めるタイプのタルト、チョコレートガナッシュや、フルーツタルトなどに広く使用されます。
サブレ生地(パートサブレ)
サブレ生地(パートサブレ)は、フランス語で「砂のような」を意味する「sablé」に由来し、最初に小麦粉とバターを合わせるため、口に入れるとホロっと崩れる軽い食感が特徴のタルト生地です。
サブレ生地も、シュクレ生地と同様にフルーツクリームやチョコレートクリームなど、冷やし固めるタイプのフィリングに合います。
ブリゼ生地(パートブリゼ)
ブリゼ生地(パート・ブリゼ)は、フランス料理のタルトやフラン、キッシュなどにも使用される生地です。
甘くないタルトにはブリゼ生地を使うんだね。
バターを少量使用するため、サブレ生地やシュクレ生地ほどの甘さはなく、塩味が加えられることで甘いタルトだけでなく塩気のある料理にも合います。
作り方・焼き方によって種類が分けられるタルト
タルトは、フルーツを生のまま上に乗せたり、具材ごと火を通したりと、使われている材料や中に詰める具材によって作り方が変わり、タルトの主な焼き方は3種類あります。
生地だけを焼く
・アベック・ガルニチュール
生地と具材を焼く
・アベック・ブレキュイソン
生地だけを焼いた後、具材と一緒に再度焼く
ア・ブラン(空焼き)
タルトを焼く時に、タルト生地が浮き上がってこないように、具材を入れずに、重石を乗せてタルト型だけを焼いて固まらせることを言います。
タルトに詰める中身は、火を通す必要のないものを入れます。
アベック・ガルニチュール
パイやタルトの中に詰める詰め物のことを「ガルニチュール」と言います。
生地と中身を一緒に焼く方法で、一般的にタルトの中にアーモンドのクリーム「クリームダマンド」を詰め、そこに洋梨やりんごなどのフルーツを並べて焼きます。
アベック・ブレキュイソン
最初に空焼きしたタルト生地に、生クリームや卵液などの液状の具材(アパレイユ)を流してもう一度焼く方法のことを言います。
液状の生地を生のタルト生地に注ぐと、生焼けになってしまうのでこの方法で焼きます。
いろんな種類があって、覚えきれません。。
中身によって分けられるタルト
タルトの中身は何種類あるのでしょうか?
お店に並ぶリンゴのタルトはデザートタルトの定番中の定番ですが、肉や魚、野菜なども入れると中に何を詰めるかは限りなく、たくさんの名前がついています。
ここでは代表的な定番タルトの種類をあげてみました。
タルト・タタン
タルト・タタン(Tarte Tatin)は、フランスの伝統的なデザートで、逆さに焼いて作るキャラメリゼされたリンゴのタルトです。
バターと砂糖で炒めたリンゴを型の中に敷き詰め、上にタルト生地をかぶせてオーブンで焼き上げたもの。
焼いている間に、生地が膨らみ、最後はひっくり返して、美しくキャラメリゼされたリンゴの部分が上になります。
タルト・オ・ポム
タルト生地の上に、リンゴを煮たコンポートや、クレームダマンド、リンゴのスライスなどを乗せて焼いたリンゴのタルトで、リンゴにはシナモン、バニラ、レモンなどで風味がつけられます。
タルトの定番中の定番で、家庭でも作られます。
タルト・オ・フレーズ
定番のいちごタルト。
タルト生地にアーモンドクリーム(クレームダマンド)を敷いて焼いた上にいちごジャムを塗って、イチゴを並べます。イチゴの鮮やかな色合いと甘酸っぱい風味が特徴です。
イチゴの上に透明なジュレ(ゼリー状の液体)をかけることによってタルトが美しく仕上がります。
タルト・オ・ショコラ
チョコレートタルトのこと。
一度焼いたタルト生地に、生クリームと合わせたチョコレートガナッシュを流して冷やし固めたもの。
タルトブルダルー
定番の洋梨のタルト。
タルト生地にクレームダマンドを詰めて、その上に洋梨を並べて焼いたもの
タルト・オ・シトロン
レモンタルトのこと。
焼いたタルト生地に、レモン汁とバターで作ったレモンクリームを詰め、その上にメレンゲをのせて焼いたタルトはフランスで定番のタルト。
甘酸っぱいレモンクリームの酸味をメレンゲがまろやかにしてくれる人気のお菓子です。
タルト・アマンディーヌ
フランス語で「アーモンドのタルト」という意味で、タルト型にアーモンドクリーム(クレームダマンド)をたっぷり詰めて、その上にアーモンドスライスを乗せて焼いたタルトのことです。
アーモンドクリームはアーモンドパウダーやバター、砂糖、卵を主要な材料として作られるフランス菓子のクリームの基本で、タルトやタルトレットの詰め物によく使われます。
タルト・フロマージュ
「タルト・フロマージュ」は、フランス語で「チーズのタルト」のことです。
チーズのタルトは、クリームチーズ、ルゴンゾーラ、モッツァレラ、エメンタールなど様々な種類のチーズを使ったフィリングがタルトに詰められるため、風味やテクスチャーが多様で、甘いものから塩気のあるものまで幅広いバリエーションがあります。
タルト・フロマージュは、チーズの種類やフィリングに加える具材によって、ハーブ、野菜、ベーコン、ハムなどのアレンジで前菜や軽食、おつまみとしても活躍します。
エッグタルト
エッグタルトは、「Pasteis de Nata(パステウィス・デ・ナータ)」と呼ばれ、卵たっぷりのカスタードクリームを詰めたタルトレットで、お菓子は、ポルトガルの伝統的なスイーツとして知られています。
バニラの香り豊かなとろりとしたカスタードクリームのフィリングと、サクサクに焼いたパイ生地の絶妙なバランスが後を引く、手のひらに乗るこぶりなタルトレットです。
クラフティー
クラフティーは、卵、小麦粉、砂糖を混ぜ合わせた液状の生地・アパレイユのなかにフルーツを入れて焼き上げるお菓子でもっちりとした食感が特徴です。
タルト生地にアパレイユを流し込んで作るものもあります。
タルトの種類まとめ
人気の洋菓子スイーツ、タルトは大きさ、生地の種類、焼き方・作り方によってたくさんの種類があります。
それもタルトの歴史が古く、古代ローマ時代から食べ続蹴られてきたお菓子だからということに納得します。
改めてタルトをいただくときに、その違いに注目してみたいですね!
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