おいしそうなパン屋さんが、家や職場の近くにも見かけられるようになって嬉しいですが、近頃では、パンはお取り寄せでも人気のカテゴリーです。
日本ではいつからパンが食べられるようになったのか、この記事では日本のパンの歴史「あんぱん」や「メロンパン」「クリームパン」の誕生についても見ていきます。
日本のパンの歴史って?
日本のパンの歴史はいつから始まったんだろう?と思っていたら、日本にはパンの日というものがありました。
その日はおいしいパンを食べられる日なのかと思ったらそうではなく、日本で初めて「パン」が焼かれた日とされています。
江戸末期の徳川幕府が食料の備えを必要としていたところ、役人の江川太郎左衛門が西洋から入ってきた砲術とともに初めて携帯食として乾パンを焼いた日です。
この「江川太郎左衛門」さんは、「日本のパン祖」と呼ばれています。
4月12日はパン食普及協議会が制定したパンの記念日。
1842年4月12日に、砲術の研究家である江川太郎左衛門が日本で初めてパンのようなものを焼いたことに由来する。
出典:https://news.nissyoku.co.jp/today/636718
戦争への備えとしての携帯食として焼かれたのが始まりで、パンの記念日に制定されたのは1983年の3月。
今では毎月12日がパンの日とされています。
ポルトガルから入ってきた日本のパン
日本語の「パン」はポルトガル語の「pao」からきているのですね!
日本に初めてパンが入ってきたのは、1543年の種子島にポルトガルの船が漂着した時で、ポルトガル人によって、鉄砲とキリスト教と一緒に入ってきたのが始まりです。
「パン」てポルトガル語なんだね!
カステラの原型になったお菓子の名前は、ポルトガル語で「パン・デ・ロー」というんだね。
南蛮貿易で、ポルトガル人が日本に持ってきた食べ物というと、金平糖やカステラというイメージでしたが、パンも一緒に入ってきていたのですね。
パンの製法も伝わってはいるものの、日本人の主食は米でしたので、この時は日本には根付かなかったようです。
明治時代のパンの歴史
明治時代に開国され、文明開化が始まると日本にも獣肉、乳製品、コーヒー、葡萄酒などを提供する本格的な西洋料理店が増えていきます。
外国人の多い横浜や神戸では、パンの製法も広がっていたようですが、やはり一般の日本人にはなかなか広がらなかったようです。
大正時代になると第一次世界大戦がはじまり、日本に収容されたドイツ人捕虜によって、ドイツ式のパンの製法が広まったとされています。
今のパン好きが嘘みたいに、 日本人の間でなかなかパンが広まらないね。
戦後の日本のパン食
日本の生活に、ついにパン食が根付いたのは、第二次世界大戦後にアメリカから大量に小麦が輸入されたためでした。
それまで米食中心だった日本の食生活が、肉や牛乳、チーズなどの乳製品を中心とした動物性タンパク質を積極に取る方向になり、学校給食がパン食中心になると、日本人の食生活は急速に欧米化されていきました。
外国のいろんな種類のパンが入ってきたんだね。
輸入や貿易など、海外との交流が増えるとともに、パンの種類もどんどん増えていったのですね。
日本のパンの種類
なかなか日本人の口には合わなかったパン食ですが、明治時代に今でも日本の菓子パンとして人気を誇る「あんぱん」の登場でついに一般の日本人にパンが普及するようになります。
今でも定番人気の「メロンパン」や「ジャムパン」、「クリームパン」など日本ならではのパンが次々と生まれてきたのもこの頃です。
「あんぱん」はいつできた?
明治時代2年(1869年)創業の「木村屋」さんが1874年に「あんぱん」を発売します。
木村屋さんは現在の「木村屋総本店」で、日本で最古のベーカリーです。
木村屋さんが売り出した「あんぱん」は、小豆などの餡をしっとりした生地で包みイースト菌の代わりに酒種を使って、酒まんじゅうの要領で作られた日本人の好みに合い、大人気となりました。
今でもあんぱん大好きです。
「あんぱん」は明治天皇にも献上された歴史を持つそうです。
今でも美味しく食べられる「あんぱん」は、こんなに昔から愛されてきたパンだったのですね。
日本のパン「ジャムぱん」
「ジャムぱん」も木村屋発祥の菓子パンです。
明治33年(1900年)に発売された「ジャムパン」は、ヨーロッパのジャムが入ったビスケットをもとに、あんぱんの餡の代わりにジャムを入れてみたらどうかと思いついたのだそうです。
銀座のお店で大好評となったジャムパンのジャムは「あんずジャム」でした。
日本のパン「クリームぱん」
クリームパンは、あんぱん、ジャムパンと並んで、「日本三大パン」と呼ばれているほど人気のパンです。
確かにパン屋さんに行くと、クリームパンの存在を確認してしまいます。
中村屋創業者夫妻が初めて食べたシュークリームの美味しさに感動して、パンの中にカスタードクリームを詰めたものを、1874年(明治7年)に新宿中村屋で発売されたのが、日本最初のクリームパンです。
「メロンパン」発祥の店はどこ?
サクサクとしとビスケット生地と丸い形が、子供から大人にまで人気のメロンパンは日本が発祥のパンですが、誕生については色々な説があり、実はよくわかっていません。
説のひとつは、1911(明治44年)年頃に、日本初のホテルベーカリーのパン職人イワン・サゴヤンが、フランスのガレットを元に発明したという説です。
サゴヤンは元ロシア帝国の宮廷料理人で、旧満州のホテルから帝国ホテルに引き抜かれ、日本のホテルベーカリーの父と言われる福田元吉の師匠だった人物と言われています。
また、1930年代に神戸の「金生堂」というパン屋さんで発売した、表面に格子模様の入った丸い形のパンが最初のメロンパンだとする説もあります。
他にもアメリカ経由で入ってきたメキシコの「コンチャ」というお菓子が原型になっているという説もあるのです。
ずいぶんといろんな説がありますね〜!
ちなみにメロンパンという名前の由来ですが、メロンは入っておらず見た目がメロンに似ているからという説、メレンゲがなまってメロンになったという説など、こちらも諸説あります。
日本の惣菜パン 「コッペパン」
「コッペパン」は日本が独自に開発したパンで、明治末期にアメリカでパンの製法を学んだ田辺玄平さんが開発して、大正時代に「丸十製パン」で販売したと言われています。
柔らかくふわふわしたコッペパンにジャムやマーガリン、焼きそばやコロッケなどのお惣菜を挟んで食べるおかずパンは日本独自のパンです。
学食の焼きそばパンは取り合いでした!
戦後から、学校給食では多くの日本人が食べていました。
その後、パンブームとともに、またコッペパンの専門店が登場するなど根強い人気があります。
日本のパン サンドイッチ
日本のサンドイッチは、1892(明治25)年に、神奈川県の大船駅で「大船軒」が駅弁として販売したものがサンドイッチの先がけと言われています。
当時のサンドイッチの駅弁は、とても高価なものだったそうです。
昭和に入ってから、トンカツ専門店がトンカツをパンに挟んで売り出していますが、一般庶民が口にするのはやはり、戦後になってからのようです。
フルーツサンドイッチ
また、食パンにフルーツとクリームを挟んだ、「フルーツサンド」は日本独特のもので、大正から昭和にかけて、フルーツを扱うフルーツパーラーで出されていたと言われています。
今ではパンもクリームもフルーツもグレードアップして、専門店もあるほどの人気ですね!
日本のパン まとめ
日本の歴史の中で、日本人がこんなにパンを食べているのは今が初めてかもしれません。
「あんぱん」や「ジャムパン」「メロンパン」や「惣菜パン」など、日本独特のパン文化が今のように広がっているのは、長い歴史の果てなのですね。
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